Incomparable H

海外暮らし あしかけ25年

おフランス

尊敬する先生が、同僚から「おフランス」と揶揄されて立腹している様子をうかがって思った次第を書きます。僕も最初にフランス語を習い始めたときは、周りから「おフランス」とバカにされたものです。渡欧する前ですから、もうかれこれ25年前になるでしょうか?それから四半世紀の大半をフランス語圏で過ごしているわけです(途中イギリスに1年、アメリカに2年ほど滞在)。

しかし、ここ10年ばかりのあいだにオランダ語圏の幾つかの大学に雇われ、イタリア語や英語での出版物が増えました。英語での活動がメインになってくると、周りの人は僕のもともとの出発点のことをすっかり忘れてしまったようです。

そして、この流れの頂点ともいえる経験を年末のあるパーティでしました。パリに数か月ほど滞在していたという仏文学の方に、面と向かって延々とパリやフランスの文化についての講釈を受けました。あまりの不条理さに、目まいを覚えたわけです。「おフランス」とバカにされたあの経験はなんだったのか?と。

人間劇場とは不思議なところです