Incomparable H

海外暮らし あしかけ25年

ほんとうに経済大国なのか?

 日本は経済大国だ、日本は技術大国だという声を聞くたびに、僕はどうなんだろうと疑問に思います。とくに最近やたらと、この掛け声が声高にくり返されるようになってきた感じがするのです。

 これは自信のなさの裏返しなのではないでしょうか?そして、呪文のように唱えれば唱えるほど、人々は自己陶酔していくのはないかと。まるで、目の前にある現実を直視したくないかのように。

 どうも、みな冷静に自分の姿を客観的に見られなくなってきているのではないでしょうか?自己批判力の欠如を感じます。

 たしかに20年前は、勢いが良かったのでしょう。でも、いまは明らかに違うと思うのです。多くの場合は昔の貯蓄で食いつないでいる感じではないでしょうか?

 そもそも、以前のように教育や研究開発に投資せずに、投機まがいの事業に力を入れてきたばかりに、足腰の部分が非常に弱くなっているのではないかというのが僕の感触です。

 アップルのスティーヴ・ジョブズが崇拝した黄金期のソニーは、いまとなっては影も形もありません。モノづくりを軽視して、金融やエンターテイメントに走ったツケが回ってきています。一度失った人材や技術力をとり戻すのは難しい。

 そして、盛んに推奨された国際化にも失敗したのだと思います。たしかに外国語ができ、海外で活躍する日本人が増えたかもしれません。しかしどう考えても、しっかりした国際感覚を備えた人々が国内で増えたとは思えません。これは、頭脳流出が起こったということなのではないでしょうか?